歯に被せるクラウンと詰めるインレーの材料について

歯に詰めたり、被せる材料は様々ですが、どのように選択したらよいのでしょうか?

セラミックは陶材であり、陶器のようなものだから割れる。割れないくらい硬い白い歯のかぶせ物はないのか。だから金属が一番良い。歯は白いので金属はいやだ。金属アレルギーの問題など、少し歯の材料に目を向けると患者さんのご意見、歯科医の考え方などいろいろあると思いますが、口腔外科医からお話しさせていただくと次のような考えに行きつきます。
(2018年現在・新しい材料が出てきた場合には考え方が変わることがあります)

口腔の粘膜への影響や顎関節への影響、体への影響を考えると歯のかぶせ物や詰め物に金属は使いたくない

金属アレルギーの問題

金属に対するアレルギーは、掌蹠膿疱症のみならず全身の皮膚疾患や口腔粘膜で口腔扁平苔癬様病変、味覚障害や口内炎にもかかわることがあります。私の臨床経験でも口腔内の金属を除去したことによって皮膚疾患が改善したり、口内炎ができなくなったり、口腔扁平苔癬が治り口腔粘膜が正常化した症例が多くあります。

後でも述べますが、歯科材料のビッカース硬さだけを考えれば、天然歯(エナメル質)270~366 Hvより軟らかい12%パラジューム合金227 Hvや20K合金220Hvが良いということにいなりますが、やわらかいということはそれだけ摩耗することになり、歯ぎしりや食いしばりのある方にとっては歯牙の摩耗とともに咬合高径の変化をきたし顎関節に負担をかけることになります。

ではセラミックはどうかと考えるとビッカース硬度は、天然歯の270-366 Hvに比べ、セラミックは、400-485 Hvとなり硬すぎるというマイナス要素があるように思われますが、セラミックは耐衝撃性という点では歯よりも低いので、食いしばりや歯ぎしりのある方では、私の今までの経験でも歯よりもセラミックが欠けることのほうが多いのです。このことはセラミックが割れることで歯を守っているということにもなると考えます。また、セラミックは表面正常が滑沢であり、金属などより虫歯菌や歯周病菌が付着しにくいというメリットもあります。

白い詰め物が割れた!その歯科医は腕が悪いのか?

セラミックやジルコニアなどのかぶせ物や詰め物が割れた場合に、その先生の腕が悪いからなのでしょうか?そのような場合も実際にはあると思います。

形成と言って歯を削る形の問題やむし歯を残している場合に応力などが集中して割れることがあります。

一方、完璧に形成し、調整していても割れるなどのトラブルに巻き込まれることもあります。このような場合の多くの事例では患者さんが歯ぎしりや食いしばりがあることがほとんどです。そのような患者さんは夜間に就寝中に普段起きて噛む力の8倍以上の力で噛むことが報告されています。その力が一点に集中すると割れることもあります。自分の歯を真っ二つに割ることもあるくらいの力ですので。

しかし、物は考えようで、先ほど述べたみたいに詰め物やかぶせものが自分の歯を守ってくれたと思い、再度、詰め物やかぶせものを行うことをお勧めします。その時、保証期間内であれば当クリニックでもそうですが無償で再製していただけることがほとんどだと思います。

白い歯の詰め物やかぶせものでハイブリッド・セラミック・ジルコニアでは、第1選択はセラミック、第2選択でジルコニア、ハイブリッドはお薦めしない

ハイブリッドは選択しない

硬さという点では、ハイブリットレジンは190 Hvで歯よりも柔らかく先ほどの摩耗や破折が生じやすい点がありますが、ハイブリッドの問題点はそこにあるのではなく、レジンとセラミックの混ざったものがハイブリッドレジンであることが問題なのです。

30Hvの硬さのレジンが摩耗して残るのはそこに混在するセラミックの粒子であり、このことで表面がざらざらになり細菌や汚れが付着し易くなります。またレジンは吸水性があるため、細菌が増殖しやすいという点も問題だと思います。

そこで、私のクリニックではハイブリッドは選択しません。金属アレルギーなどで多くの歯の金属を外さないといけない場合にやむなく選択する時には、あくまで仮の歯的な位置づけと患者さんにお話ししています。

セラミックよりもジルコニアは割れない。でも、硬すぎる?

硬さの話に戻りますが、天然歯(エナメル質)270-366Hvに対し、セラミックは400-485Hv,一方、ジルコニアは1300Hvです。

咬合(噛み合わせ)の関係もありますが、噛みごこち、そして摩耗による対合歯への影響を考えるとセラミックが最も優れていると考えます。しかし、ビッカース硬さだけですべてを判断してはいけないのも現実です。

硬さについて

硬さもですが、物体の変形しにくさ、傷つきにくさなどいわゆる硬さを厳密に定義することは困難です。

硬さについては以下のような評価方法があります。

1.ブリネル硬さ試験、ビッカース硬さ試験、ロックウェル硬さ試験:硬い材料ほど物を押し込むのに大きな力を必要とすることを利用した押し込み硬さ試験。

2.シャア硬さ試験:硬い材料ほど反発が大きいことを利用した反発硬さ試験。

3.マルテンス引っかき硬さ試験:硬い材料ほど引っかき傷ができにくいことを利用した引っかき硬さ試験。

工業的には、数種類の硬さ試験法から得られた数値を硬さと定義しています。
歯科材料では、ビッカース硬さよりもマルテンス引っかき硬さ試験の方が適切かもしれません。

それらの硬さ試験のなかで歯科材料をダイヤモンドでできた剛体(圧子)を被試験物に対して押込み、くぼみ(圧痕)を作り、圧子を取り去った後に残る圧痕の表面積の大小で硬いか柔らかいかを判断する。ビッカース試験の数値で評価すると表に示すようになります。

主な歯の修復に使われる材料のビッカース硬度
天然歯 エナメル質:270 ~ 366 Hv
天然歯よりも硬い ジルコニア:1300 Hv
セラミック:400-485 Hv
18K合金:400 Hv
天然歯より軟らかい 12%パラジューム合金:227 Hv
20K合金:220 Hv
ハイブリットレジン:190 Hv
硬質レジン歯:30 Hv

歯の修復の材料は、口腔内の状態を十分に把握し、患者さんに合わせた材料の選択が重要です。

診断を元に、歯科医とよく相談して決める必要があります。

口腔外科医のお役立ちコラム

Dr.新谷 悟が皆様に役立つのではないかと思ったものをコラムとしてご紹介いたします。

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