口腔外科医のお役立ちコラム Useful Columns
歯科口腔外科医が勧める
入浴から就寝まで
顎の痛い方、歯ぎしり、食いしばりの
ある方、口が乾く方
一日のお仕事が終わりホッとしてお風呂に入り、お休みになられる時間は一日の疲れをとる絶好の機会でもあります。
歯科口腔外科医として、歯やお口、顎の健康といった面から、その入浴から就寝までの過ごし方にアドバイスを送りたいと思います。
歯・口・顎のための入浴法
入浴しながらフロス(糸ようじ)!
歯の健康を維持するためには虫歯と歯周病対策が重要、朝や食事後の歯みがきはどうしても歯ブラシが中心になってしまいます。歯ブラシだけでは歯の周囲の汚れの6割しか取れません。大人になると歯と歯の間から虫歯になることも併せて考えるとフロス(糸ようじ)による歯の清掃は必須です。
フロスを行って歯の隣接面(間)をよく磨き、何か引っかかりがある
隙間に初期の虫歯ができている可能性・治療した歯の詰め物やかぶせものと歯の隙間に新たな虫歯ができている可能性があります。
フロスを行って歯肉から出血がある
初期ならびに中程度の歯周病があることがわかります。出血するからとフロスをしないのではなく、若干痛みや歯の浮いた感じがしても出血がなくなるまでフロスを行った歯茎を引き締めましょう。
以上を意識しながら歯の数を認識してフロスをゆっくり丁寧におこないましょう!
入浴しながら顎の運動とマッサージ!
歯ぎしりや食いしばり、顎関節症という顎の関節から、音が鳴る、顎の関節が痛いと感じるなどがある人、そのような症状がなくてもそうならないための顎の健康を維持するためには、次の運動がお薦めです。
口をできるだけ大きく開けて、5秒間ほど開けたまま維持する運動を3セットほどする
頬骨と下顎角(えら)の部分に走行している咬筋を中心に、側頭筋など閉口筋(口を閉じるために使われる筋肉)をストレッチして伸ばしましょう。
下顎をできるだけ前に出す(志村けんさんのアイーンのような顔)運動を同じく5秒間x3セット行う
下顎の周りについている内側ならびに外側翼突筋、舌骨上筋群などをストレッチでき、顎関節の動きをスムーズにすることができます。
耳の下で、えらの上のあたり、咬筋という筋肉のあたりをゴリゴリとマッサージします。
こめかみのあたりのマッサージも有効です。
咬筋や側頭筋などの閉口筋の過緊張(こり)が顎関節症や、歯ぎしり・食いしばりの原因になりますのでこれらの筋のマッサージはこれらに予防にも重要です。
これらの顎のストレッチ運動ができない方は、顎の病気の可能性がありますので歯科ならびに歯科口腔外科を受診して相談しましょう。
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入浴しながら唾液腺マッサージ
歯周病やむし歯、いずれも口の中にそれらの原因菌が増殖して起こります。その他、口の中の細菌が増殖して起こるものに口臭もあります。
口の中の細菌が最も増殖するのは睡眠中であることが知られています。そして、その細菌の増殖を抑える体の防御の中心は唾液ということになります。
このことから、就寝前に唾液の流出を促すことは大切と思われます。
耳下腺・顎下腺、舌下腺マッサージを入浴中に行う
唾液腺マッサージによって唾液の流出が促進され、口腔内のPH、緩衝能が変化して口腔内の細菌増殖を抑えることが期待できます。
就寝前に口腔内の細菌叢を整える口に良い細菌サプリを舐めて就寝する
体内に常在し、免疫賦活や様々な感染症の発症を予防する乳酸菌L-ロイテリ菌や口腔内のフローラを改善することができる可能性がある善玉菌として、Streptococcus salivarius K12株などを就寝前に服用することで睡眠中に口腔内常在菌のバランスを整える効果があります。
これらの顎のストレッチ運動ができない方は、顎の病気の可能性がありますので歯科ならびに歯科口腔外科を受診して相談しましょう。