口腔外科医のお役立ちコラム Useful Columns
良い歯科医院の見分け方
歯科医院の数は、コンビニより多く、過当競争で歯科医院経営も大変だとの記事も散見されます。
歯科医院と一言で言っても、院長先生が一人で、スタッフも多くなくこじんまりとしたクリニックもあれば、ドクターの数が多く、グループで展開している歯科医院もあります。
では、たくさんある歯科医院の中からどうやって選べばいいのでしょうか?
歯科医師が多いほうが良いか、少ないほうが良いか
歯科治療では、診断に対して治療の選択がいくつかあります。
例えば歯を一本、失ったときに、『そのままにする』、『入れ歯にする』、『ブリッジにする』、『インプラントにする』などの選択があるように。
その選択は患者さんの全身状態や他の歯や口の中の状態、あるいは費用の問題などによって一人一人について相談しながら決定しなければいけないことが多いのが現実です。
歯科医師が1名あるいは2名の常勤(ほぼ毎日その歯科医院にいる)で担当医が決まっている場合には主治医が変わりませんので、その点で治療方針が変わることがなく安心です。
歯科医師が多い、複数の歯科医院をグループで経営している場合でも担当医が変わらない場合は良いと思いますが、担当の歯科医師がコロコロ変わったり、そのクリニックを退職して開業するなどで数年で担当医が変わるような歯科医院は治療の一貫性、継続性の点から問題があるかもしれません。
ドクターの実力の見かた
厚生労働省が認めている専門医を取得するためには、一定数以上の症例の提出、試験、学術発表などの条件が必要で簡単には取得できません。専門医を指導する指導医はさらに研鑽を積んでいることになります。
現在、日本口腔外科学会、日本歯周病学会、日本小児歯科学会、日本歯科麻酔科学会、日本歯科放射線学会の5つが、厚生労働省が認めている学会です。その他の学会の専門医もしっかり試験などがあるものもありますが、なかには学会が開催する実習や講義のコースをある一定以上(場合によっては、数時間)受けるともらえる専門医もあるので注意が必要です。
ホームページなどで先生の学歴やプロフィールを参考にすることも重要です。
保険診療か自費診療か
保険診療で、適切な治療ができないわけではありません。
虫歯の治療や歯周病の治療など基本的な歯科治療は保険診療でも十分に適切な治療が行えます。しかし、特別な材質の入れ歯や、金属を使わない詰め物や被せもの、インプラント治療など最善の治療内容を求めるのであれば、やはり保険診療から外れ、自費の診療になってしまいます。なぜなら、保険診療で認められている材料やコストで、最善の治療を行うと材料や診療時間の問題から、一定レベル以上の治療を受けるのが限界になってしまうからです。
そのため最善の治療を受けようと思うとおのずと費用は高額になります。
細かいチェックで見極める具体的な方法
こんなことで分かる良い歯科医師の見分け方です。
- 治療の時に拡大鏡を使っている
歯科治療は細かい施術が必要になります。裸眼での治療には限界があります。拡大鏡は良い治療のために必須です。裸眼で治療する先生は十分に適切な治療をできているとは言えないと思います。 - 虫歯の治療の時にう蝕検知液(虫歯の部分を染める薬剤)を使う
う蝕検知液を使わないと虫歯を完全に除去することはできません。しかし、う蝕検知液を使わない先生が驚くことにまだ多くおられます。自分の感覚で正確にう蝕がどこまで進んでいるのかを見極めることは困難です。 - メインテナンスをしっかりとやってくれることです
メインテナンスに力を入れているということは、治療をやりっぱなしではないことの証明です。むし歯も歯周病も治療後に再発をさせないためには、少なくとも3か月に1回、定期的に検査をし、歯ブラシで取り除けなかったプラークや歯石を取り除くことが必須です。治療後にメインテナンスの案内をしてくれて、その場で予約をしてください、という歯科医院は信頼できます。
まとめ
良い歯科医院とは、しっかりと新しい情報を取り入れ、患者さんの意見をよく聞き、きちっと治療をしている歯科医院ということが言えます。
良い歯科医師とは常に患者さんのことを考え、常に寄り添う姿勢でいてくれる人だと思います。だからこそ良い先生は患者さんも話しやすく、疑問があれば躊躇なく、聞ける雰囲気を持っています
そんな歯科医師に出会えたら、一生ものだと思います。