歯肉増殖症 Glossary Gingival Hyperplasia
歯肉増殖症
歯肉増殖症とは
歯肉が歯周病(歯槽膿漏)で、いわゆる膿を持って腫れるのではなく、歯茎の上皮化にある線維性組織を中心に増殖する病気を歯肉増殖症と呼びます。
- 口呼吸(鼻ではなく口を開けて呼吸する)などの原因で辺縁歯肉に発症する歯肉の増殖である単純性歯肉増殖症。
- 炎症を伴わない歯肉の増殖で、上下の歯肉全体が増殖し、歯が歯肉に覆われることもある歯肉線維腫症(歯肉象皮症)。
- 種々の薬物によって引き起こされる薬物誘発性歯肉肥大。
ある種の薬剤を服用することによりすることにより、歯肉増殖が発生します。
- ある種の薬剤とは、
てんかんの治療薬であるフェニトイン、アレビアチン、ジフェニルヒダントインなど。
高血圧症、狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗薬であるニフェジピン(アダラート)、ベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)、ニカルジピン(ペルジピン)など。
シクロスポリンA免疫抑制剤であるシクロスポリンA。
どんな病変か・原因は
前述のようにある種の薬を長期に服用し、口腔内の衛生状態の悪い場合に歯肉増殖をきたします。プラークコントロールが良好(口腔内の清掃状態が良好)であれば歯肉増殖は抑えられることが多いです。
フェニトインでは約50%、ニフェジピンでは15~20%、シクロスポリンでは25%~30%の患者さんに長期服用によって歯肉に増殖をきたすことが知られています。
病理学的特徴
原因は、各種の薬物の影響で歯肉中の上皮の下にある線維組織(線維芽細胞)が分裂し、増殖や肥厚が起こると考えられており、病理学的には歯肉上皮下での線維芽細胞の増殖像を示します。
治療の方法
口腔内の衛生状態・清掃状態を良好に保つことが非常に重要です。歯肉増殖が重度の場合には、歯肉の肥大によって、口腔清掃ができないという悪循環になるため、歯肉切除術を行う場合もあります。薬剤性の場合には、薬の服用を中止することも考えられますが、てんかん治療薬などの場合には、できない場合もあり、口腔清掃がまず行われます。