新谷メソッド・皮膚関連疾患 Skin Disease
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掌蹠膿疱症、金属アレルギーなどに
新谷メソッド皮膚関連疾患
掌蹠膿疱症、金属アレルギーなど、皮膚の症状を伴う疾患に対する歯科口腔外科的アプローチ。
尋常性乾癬・掌蹠膿疱症を代表として、アトピー性皮膚炎などを含む皮膚疾患の一部には慢性扁桃炎(扁桃病巣感染症)や虫歯・歯肉炎などの病巣感染、歯科用金属などによる金属アレルギーなど歯科口腔外科領域との関連が指摘されています。
検査ならびに診断
- 口腔内検査
- X線検査
- 金属アレルギー検査(パッチテストなど)
- この検査に関しましては皮膚科クリニックなどでの検査を原則としております。
治療
一次治療
- 虫歯や根尖病巣など、慢性感染巣の治療
- 口腔粘膜疾患の有無確認と診断・治療
- 皮膚疾患との関連が大きいとの判断で、口腔内金属除去
二次治療=デトックス (detox)
- 口腔粘膜を中心としたデトックス
(含嗽→内服) - 全身からの有害な歯科金属イオンデトックス
(点滴療法)
- デトックス(解毒detox:detoxifica tion)とは、体内に溜まった毒物を排出させること。
豆知識trivia
皮膚病で歯科疾患との関連が疑われる
可能性がある主な疾患
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手の平や足の裏の皮膚に小さな膿の袋がたくさんでき、その部分の皮がめくれ上がり、かなりの痛みを伴うなどの症状がでる皮膚病
蕁麻疹
アトピー性皮膚炎
歯科疾患があるためにアトピー性皮膚炎の症状をさらに悪化させている場合があります。
その他、諸々の皮膚病
このような可能性がある場合には、皮膚科の医師の診断が重要で、”皮膚の病気の原因が身体の他の部位の病巣などとも関連がある可能性がある”との診断が下された場合に扁桃腺などの耳鼻科領域や虫歯、歯周病、歯根嚢胞、口腔粘膜のびらん・潰瘍、カンジダ症、口腔内金属、顎の骨の中の病気など歯科の領域に、その原因の80~90%があると言われています。
金属そのものはアレルギーを起こさない
金属そのものは「アレルゲン」ではありませんが、汗や唾液など、体液によってイオン化した金属が体内に取り込まれます。そのため、発汗によって、ネックレスや時計のベルトと接する肌が赤くなったり、かゆみが出るのは、汗の塩分がイオン化を促すためです。
アレルギー発症までに
時間がかかることが多い
金属アレルギーは、原因となる金属がイオン化して体内に入り込んでアレルゲンの形になっても、即座に発症するものではありません。多くの場合、5年以上の長い年月をかけて、皮膚に高い濃度で排出されたときに、初めて湿疹などの症状となって表れるものです。また、人によっては金属に対するアレルギーが非常に強く 短い期間と低い濃度でも発症する人もいます。
金属アレルギーの症状
局所性金属アレルギー(接触皮膚炎)
アクセサリーなどを長時間着けることによって汗などと反応して金属イオンが体内に入り、肌にかゆみや湿疹が起こるものです。一般的によく知られ、金属が当たる部分に皮膚炎が起こるため、原因が分かりやすく、その金属を肌に触れないようにするだけで治ることもあります。
歯科金属による口腔症状(接触性口内炎)
口の粘膜が荒れたり、舌にまだら模様が表れたり、扁平苔癬ができたりします。
食べ物の味も分からなくなることもあり、ソムリエなどは仕事を失いかねない症状になるため、歯科金属には厳重な注意が必要です。
全身性金属アレルギー
歯科金属など唾液でイオン化され体内に入った金属が、そこから離れた場所、または全身の症状となって表れるタイプの金属アレルギーです。
実はこちらのタイプのほうが深刻で、多くの人が別の病気、たとえば「肌荒れ」「水虫」などと誤診されているケースが多いのが現状です。
接触性皮膚炎、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、貨幣状湿疹、異汗性湿疹歯科金属疹、偽アトピー性皮膚炎、口腔扁平苔癬、舌痛症、異味症、口唇炎、口内炎、歯肉炎、舌炎
金属アレルギーによる粘膜疾患
口腔扁平苔癬様病変
ORAL LICHEN PLANUS LIKE LESION
口腔扁平苔癬は、口腔粘膜に慢性に角化異常をきたし、40~70才台の女性に多く、80%以上は歯列咬合面を中心とした頬粘膜、舌、口唇、口蓋、歯肉に発生する病変です。白い網目状、レース状模様が変化し、扁平紅色苔癬と呼ばれる赤くなる状態化するなど多彩な像を呈して、網状型、丘疹型、線状型、斑状型、びらん・潰瘍型、小水疱型、色素沈着型に分類されます。
その類似疾患に口腔扁平苔癬様病変は、口腔内の金属(歯の詰め物や被せ物)による金属アレルギー(特に歯冠のアマルガム合金や義歯の金属バネ)、ガルバニー電流(歯冠の微弱電流)、口内の不衛生などが原因のもので、治療により治る病変です。
金属抗原除去療法、それに点滴療法、DETOX内服療法を行うことで奏功することも多く、これらを組み合わせる新谷メソッドは非常に有効な治療法であると考えます。
金属除去と新谷メソッドによるDETOXで前がん病変が消失した症例
新谷メソッドによる口腔粘膜疾患(前がん病変)の治療効果
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大学病院で前がん病変と診断され、治療法がないということで受診された頬粘膜に発赤とびらんを認める
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前がん病変と診断された病変が、歯科用金属の除去と「新谷メソッド」で消失していることがわかる
主訴
55歳女性。両側頬粘膜・上下唇のザラザラ感を10数年前より自覚するも放置していた。最近になりざらざら感は増し、特に右側頬粘膜に発赤と刺激物がしみて痛く感じられるようになってきたため受診されました。
治療内容
細胞診を行い、その結果はClass IIIaであった。口腔扁平苔癬(前がん状態)が最も疑われることと扁平苔癬様症状としての金属アレルギーも考えられることを患者さんにお話しした。
右側下顎第2大臼歯、左側上顎第1大臼歯に、12%金パラインレー(詰め物)とクラウン(被せもの)で治療がなされており、デキサルチン軟膏(ステロイド)の処方とフコイダンクリームにて若干の改善を認めたが、病変の消失は認めなかったため、金属をノンメタル(非金属)のセラミックに交換することとした。金属の詰め物をセラミックに交換することで、病変の消失を認めた。
治療内容
初診より1ヶ月
ステロイド軟こうなどで経過を見て、その後、金属の修復物をノンメタルに置き換え、症状の改善を見た。約2か月半の治療期間であり、その後も定期的な経過観察を継続している。
治療費用
右側下顎第2大臼歯にセラミックインレー(詰め物)77,000円(税込)
左側上顎第1大臼歯にセラミッククラウン(被せ物)121,000円(税込)
主なリスク・副作用
- 金属を全て外してノンメタルに変えたとしても、それに関する粘膜疾患が改善しないことがある。